泉鏡花について

浪漫と幻想の作家 泉鏡花

幼い頃に母を亡くした泉鏡花。その作品は亡母憧憬を基底に浪漫と幻想の世界を小説や戯曲という形で紡ぎだしてきました。 明治半ばから創作活動を始め、大正、昭和にかけて、300編あまりの作品を生み出した鏡花は、やがて文豪と称えられ、 また天才とも謳われるようになりました。「義血侠血」「高野聖」「婦系図」「歌行燈」「日本橋」「天守物語」など まばゆいばかりの傑作の数々は、文学の世界だけでなく、視覚芸術である舞台や映画という手法によっても発展し、 現在も人々に愛され続けています。

Experience Izumi Kyoka’s world of imagination in the museum constructed on the site of the home where he was born.

Izumi Kyoka lost his mother when he was just a little boy. Nonetheless, he was able to channel the adoration he felt for his departed mother to weave tales of romance and fantasy, creating a unique literary world known today as “Kyoka’s World.” Kyoka got his start in the world here in Kanazawa, where he was born to a father who was a skilled artisan and a mother who was the daughter of a musician in the local Noh theater. After moving to Tokyo, his works gained a wider audience. Writing during the Meiji, Taisho and Showa periods, he eventually came to be considered a literary master in the genre of romantic literature. “Giketsu-kyouketsu,” “Koya Hijiri (The Holy Man of Mt. Koya),” “Onna Keizu,” “Nihonbashi” and “Tenshu Monogatari” are among the many dazzling masterpieces that he has left us. Many of his stories have moved beyond the literary world to be turned into plays, films and other forms of art. The charm of Kyoka’s World maintains its appeal even today.

年表

年度 満年齢 主な出来事
1873年(明治6年) 11月4日、旧金沢下新町23番地に泉家長男として生まれる。
本名鏡太郎。
父清次(せいじ)は彫金師、母鈴は江戸生まれ、加賀藩御手役者で葛野(かどの)流大鼓(おおつづみ)方・中田猪之助(万三郎のち豊喜)の娘。
1882年
(明治15年) 9歳 母 鈴、死去。享年28歳。
1890年(明治23年) 17歳 尾崎紅葉の作品を読み、小説家を志し上京。
1891年(明治24年) 18歳 10月19日、紅葉宅を訪ね入門を許され、玄関番として住み込む。
1892年(明治25年) 19歳 京都『日出新聞』に「冠弥左衛門」を連載し文壇デビューを果たす。
1894年(明治27年) 21歳 父 清次、死去。11月、「義血俠血」を『読売新聞』に連載。
1895年(明治28年) 22歳 「夜行巡査」、「外科室」を発表し、新進作家として認められる。
1899年(明治32年) 26歳 硯友社の新年宴会にて伊藤すゞ(のちの鏡花夫人)と出会う。
1900年(明治33年) 27歳 名作「高野聖」を発表。
1903年(明治36年) 30歳 10月30日、紅葉死去。その後自然主義の圧力が強まる。
1905年(明治38年) 32歳 夏、健康を害し、逗子に転地療養。3年半に及んだ。
1907年(明治40年) 34歳 「婦系図」を『やまと新聞』に連載。
1909年(明治42年) 36歳 2月、東京へ帰京。4月、文芸革新会へ参加。
1937年(昭和12年) 64歳 6月、帝国芸術院会員となる。
1939年(昭和14年) 9月7日死去(享年65)。東京の雑司ヶ谷墓地に埋葬される。